報告書

自治体における公正で透明な事務執行をめざして -都市自治体の法的整合性確保に関する調査研究最終報告書-

自治体における公正で透明な事務執行をめざして -都市自治体の法的整合性確保に関する調査研究最終報告書-


A4判 162p
定価2200円(本体価格2000円+税10%)

 

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※ 当刊行物は、宝くじの普及宣伝事業として助成を受け刊行されたものです。

本報告書は、財団法人日本都市センターが2008~2009年度の2か年にわたって自主調査研究として実施した「都市自治体の法的整合性の確保に関する調査研究」の第2期調査研究の成果を取りまとめたものである。調査研究を進めるにあたっては、第1期に引き続き、当センター内に「法的整合性研究会」(座長宇賀克也東京大学大学院法学政治学研究科教授)を設置した。
近年では、自治体と法をめぐる論点として、自治体のコンプライアンスや不適切な事務執行の問題が注目されている。例えば、長や職員の汚職事件、飲酒運転、不明朗な会計処理といった不祥事や、建設行政における談合、税務行政における滞納の放置、生活保護行政における不正受給や申請拒否などである。これらの問題は、いわば法規範と現実が乖離したことによって生じた問題といえる。乖離の原因は様々であるが、本調査研究では、法規範と現実の整合性の態様を考察するために「法的整合性」という概念を新しく用いている。
本報告書では、次の8つの重点検討項目が論じられている。(1)「法的整合性確保の理論」、(2)「公文書管理の適正化」、(3)「不祥事対応」、(4)「企業の取組から学ぶ」、(5)「公正で透明な人事行政の実現」、(6)「会計管理・行政対象暴力」、(7)「条例の実効性確保」、(8)「入札監視制度の導入」である。
また、本報告書には、「都市自治体の法的整合性確保に関するアンケート調査」の概要が掲載されている。このアンケートは、都市自治体におけるコンプライアンスの現状と課題を把握することで、行政におけるコンプライアンス確保策の立案に寄与するデータを収集するために実施されたものである。調査対象は全国806市区の人事担当課長等であり、有効回収数は409団体、有効回収率は50.7%であった。
アンケートの特徴としては、(1)都市自治体における不祥事の状況や対策について包括的に情報を収集したこと、(2)自治体の公正性・透明性を確保する施策の取組み状況について自治体の人口規模別に集計をしたこと、(3)懲戒処分・分限処分だけでなく内規に基づく処分や職員に対する損害賠償請求の状況も調査したこと等が指摘できる。

第1部 重点課題の検討

1.法的整合性確保の理論
法的整合性確保と地方分権
(執筆:(財)日本都市センター研究員鈴木 潔)
コンプライアンスの日本的位相
(執筆:大阪市立大学大学院法学研究科教授阿部昌樹)

2公文書管理の適正化
法的整合性と公文書管理
(執筆:東京大学大学院法学政治学研究科教授宇賀克也)

3不祥事対応の理論と実践
不祥事の行政学
(執筆:東京大学大学院法学政治学研究科教授金井利之)
自治体における不祥事対応の実務
(執筆:市町村アカデミー客員教授大塚康男)
「外部統制的内部統制システム」の形成――大阪市公正職務審査委員会
(執筆:(財)日本都市センター研究員鈴木潔)

4企業の取組から学ぶ
地方自治体における債権の管理・回収の現状と課題
――民間の債権管理・回収との比較を中心として――
(執筆:一橋大学大学院法学研究科教授山本和彦)
企業におけるコンプライアンス・危機管理体制の実態
(執筆:弁護士諸石光熙)

5公正で透明な人事行政の実現
公正で透明な人事行政の実現――熊本市人事委員会・和歌山市人事委員会
(執筆:(財)日本都市センター研究員上野晋平)

6会計管理・行政対象暴力
「行為規範の適切化」と「職員個人に関する訴訟支援」
(執筆:北海道大学大学院法学研究科教授人見剛)

7条例の実効性確保
条例の実効性確保――広島市暴走族追放条例事件
(執筆:(財)日本都市センター研究員鈴木潔)

8入札監視制度の導入
名古屋市における入札制度改革――入札状況の常時監視
(執筆:(財)日本都市センター研究員鈴木潔)

第2部 都市自治体の法的整合性確保に関するアンケート調査

都市自治体の法的整合性確保に関するアンケート調査調査概要
都市自治体の法的整合性確保に関するアンケート調査調査票および結果概要
(執筆:(財)日本都市センター研究員鈴木潔)

 

 

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