3.調査研究の概要
(1)団塊世代の地域参画に関する基本認識
もし自治体が、「団塊世代がいま流行だから」または「2007年問題に対処するため」という問題意識だけで団塊世代の地域参画を促す場合、特徴のない「横並び施策」となってしまい、期待されたほどの成果をあげない可能性がある。なぜならば、いまコミュニティ・レベルで必要とされているのは、団塊世代をターゲットにした個別的・短期的な施策よりも、コミュニティ再生のための総合的・中長期的な施策であると思われるからである。
団塊世代に関するコミュニティ活動促進施策は、自治体の中長期的な課題である、コミュニティの再生、住民自治の拡充の一つのきっかけとして捉えることが重要である。
(2)コミュニティへの参加を促す方策
国および一部の自治体には、まちづくりや地域振興のために「団塊世代を活用する」という発想がないとはいいきれないように思われる。これは、いわば「団塊世代=道具」論である。しかし、このような議論は、行政側の都合を優先した議論であり、団塊世代の立場や意見に配慮したものとはいえず、団塊世代の理解を得られない可能性がある。いうまでもなく、行政がいかに手を尽くしても、コミュニティ活動に参加したい人は参加するし、参加したくない人は参加しないのである。
そこで、どのようにしてコミュニティ活動に参加したいと思う人を増やすかがカギとなる。そのためには、自治体が団塊世代をまちづくりに活用するという発想ではなく、いかに「活動の場」、「活動のきっかけ」を提供するかという視点が重要であると思われる。
(3)ガバナンス・協働の意義と課題
もはや行政がすべての公共サービスを担う時代ではない。自治の主役としての住民と行政が協働をして、まちづくりを進める必要がある。
しかし、協働にはいくつかの課題もある。第1に、日本人にはまだまだ行政依存体質が強く、税金を納めているのだから行政が必要なサービスはすべて提供すべきであるとする考えが残っている。第2に、協働施策には、本来であれば、自主・自立のために住民自身が必要に応じてつくりだしてゆくはずの自治能力までも、自治体のサービス・支援によってつくられるという一種のジレンマがある。第3に、公共サービスのアウトソーシング(外部化)は、個別の業務内容にもよるが、必ずしも大きな収益が見込めない業務を住民や民間企業に負わせることになる。その結果、行政支出の削減には一定の効果があったとしても、低賃金労働者が増え、地域経済の活性化にはつながらない可能性がある。
(4)テーマ型コミュニティ組織と地縁型コミュニティ組織
テーマ型コミュニティ組織(NPO、ボランティアなど)と地縁型コミュニティ組織(自治会・町内会、消防団など)との「二極化」が進んでいる。コミュニティを活性化するためには、テーマ型コミュニティ組織で活動する人々に、いかにして地縁型コミュニティを知ってもらい、参画してもらうかという視点が重要である。なぜならば、両者が連携・融合することによって、相互の強みを生かすことができると考えられるからである。
(5)コミュニティ・ビジネス
コミュニティ活動やまちづくりは、非営利的な分野に限られるものではない。むしろ、地域経営という観点からすれば、空き店舗が増えている商店街の再生など経済開発の問題まで踏み込んでいくことが求められる。まちづくりにビジネスの要素を取り入れた活動は、一般に、コミュニティ・ビジネスと呼ばれる。ある意味では、営利分野・非営利分野を横断的に捉えてこそ、本当のまちづくりといえるのかもしれない。3大都市圏とそれ以外の地域、また県庁所在地とそれ以外の市町村で、「地域格差」が拡大しつつある現在、今後、このような視点はますます重要になってくるであろう。
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