報告書

超高齢・人口減少時代に立ち向かう─新たな公共私の連携と原動力としての自治体─ (地域経済財政システム研究会WG報告書)

超高齢・人口減少時代に立ち向かう─新たな公共私の連携と原動力としての自治体─ (地域経済財政システム研究会WG報告書)

 

A5判 227p
定価1100円(本体価格1000円+税10%)

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我が国は今後、急速な少子高齢化の進展とともに超高齢・人口減少社会を迎える。これにより、高齢者や共働き世帯が必要とする各種福祉サービスへの財政需要が一層の高まりをみせている。一方で、地域医療の充実、地域公共交通網の再編・整備、防災基盤の整備、公共施設の維持管理・更新投資への対応も今後より一層必要となることが見込まれている。他方、こうした取組みとともに、魅力ある都市づくりをめざし、農村地域とも連携しつつ文化・スポーツの振興など、将来に渡って住民や企業にとって価値ある生活と生産の空間を創出していくことも引き続き、都市自治体の使命である。

 

そこで、魅力的な都市空間を創出するとともに新たな時代の財政需要に応えるための都市自治体の財政運営とこれを支える地方税制のあり方などについて、国内外の先進的な取組みや実例を踏まえて理論的な検討を行うこととした。具体的には、平成27(2015)年度から平成28(2016)年度までにかけ、(公財)日本都市センターでは「地域経済財政システム研究会WG(ワーキンググループ)」(座長 井手英策・慶應義塾大学経済学部教授)を設置し、超高齢・人口減少時代の都市自治体の行財政運営のあり方の検討を行ってきた。本研究会WG 委員は、財政学、行政学、地域計画などの各分野において第一線で活躍する若手研究者である。本研究会では、全8回の研究会を開催するとともに、12カ所のヒアリング調査を行い、それらを通じて得られた知見をもとに議論を深めた。

 

その結果、本報告書では、今後の超高齢・人口減少時代の到来とともに、公共私の分野を問わず多様な主体による連携が求められてくること、そして、そうした連携を促進する調整役(コーディネーター)としての市町村、特に都市の役割や施策のあり方について、各自治体の取組みを通じて論じることになった。

 

今後の厳しい人口減少社会の到来に対応していくには、各自治体が公共私の分野を問わず、多様な地域主体との連携を促進する調整役(コーディネーター)としての役割を担うこと、ときにはそうした連携の原動力となることがカギとなるだろう。本報告書には、既にそうした連携を促進する自治体の取組みが数多く収められている。本報告書が、今後の厳しい時代を乗り切る自治体の行財政運営のあり方を考えていく際に多少なりとも貢献できれば幸いである。

 

第1章 「公・共・私のベストミックス」の時代へ

-歴史的アプローチ、そして小田原市・多久市からの示唆

(慶應義塾大学経済学部教授 井手 英策)

 

第2章 持続可能な地域経済構築と「雇用」確保に向けた地方自治体の役割

(日本大学経済学部教授 沼尾 波子)

 

第3章 人口減少社会における地域公共交通のあり方と行政の役割

(香川大学大学院地域マネジメント研究科教授 村山 卓)

((公財)日本都市センター研究員 清水 浩和)

 

第4章 人口減少社会における文化・スポーツ(広義の文化政策)に対する行政の役割

(香川大学大学院地域マネジメント研究科教授 村山 卓)

((公財)日本都市センター研究員 清水 浩和)

 

第5章(1節) 公共施設の複合化とその管理

(首都大学東京都市教養学部准教授 松井 望)

 

第5章(2節) 公共的な空間利用と地域コミュニティの活性化

(芝浦工業大学工学部准教授 佐藤 宏亮)

 

第6章 都市部における高齢者の生活・居住のための取組み

(埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授 宮崎 雅人)

 

第7章 地方税制・財政調整のあり方

(立教大学経済学部教授 関口 智)

 

終章 歴史の転換点における地方自治体の財政責任

(慶應義塾大学経済学部教授 井手 英策)

 

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