報告書

国際条約と自治体

国際条約と自治体


A4判 160p
定価2200円(本体価格2000円+税10%)

本報告書では、国際条約と自治体との関係について、理論的考察や現状把握を行い、その成果を取りまとめました。
これまで国際条約といえば、一般的には国家間で取り決められた規律であり、国家のみが義務を負うとの認識でした。しかし、国際化や地方分権の進展、締結される国際条約の増加に伴って、国際条約が規定する内容によっては、WTO政府調達協定や小樽市で起きた外国人温泉入浴拒否事件のように、自治体の諸活動にも影響を及ぼす事例が見られます。

・自治体が施策を実施する際に、国際条約等との関係にも留意する必要があります。国際条約の規定のうち自動執行的な条項については、自治体は、その内容を履行しなければならない義務を負います。場合によっては、自治体の施策や対応が国際条約の規定内容に違反すると訴えられる事態が生じることもありえます。自治体によっては、独自の政策として国際条約の実施に向けて積極的に取り組むところあります。
・国は、国際条約の締結にあたっては、条約の条項解釈や自治体の執るべき具体的な施策について、自治体に対し説明する責任があり、必要な情報を自治体に提供することが求められます。また、国際条約に対応した国内法を速やかに整備することが望まれます。
・国際条約と自治体との関係を考えるにあたっては、(1)国際条約が自治体を対象としているか否かの判断基準、(2)国際条約を履行するために国内法の整備が必要な場合と必要でない場合の判断基準、(3)国内法がない場合、自治体が直接国際条約を根拠として責任を負うことになるか否かの判断基準について、今後更なる検討が必要です。

資料編では、国際条約の実施に向けて積極的な自治体の取組や、国際条約と自治体との関係(事例・事実)等について紹介しています。

はじめに

第1部 国際条約と自治体についての視点・論点

第1章 国際的な規制と自治体
第2章 国際法と国内法(特に条例)の関係と問題点―憲法の視点から―
第3章 国際法における自治体の位置づけ

第2部 国際条約と自治体の諸施策との関係

第1章 国際条約と自治体との関係について―その類型化、分析の視点―
第2章 人種差別撤廃条約と自治体―小樽温泉入浴拒否事件判決を通じて―
第3章 環境関連の国際条約と自治体の役割
第4―1章 WTO政府調達協定と自治体の対応について
第4―2章 WTO政府調達協定と自治体
第5章 自治体にとって国際ルールとは何か―危機管理から国際条約の問題点を考える―

あとがき

資料編

資料1 児童の権利条約の実施に向けた川崎市の取組
資料2 小樽市外国人温泉入浴拒否問題の解決に向けた小樽市の取組
資料3 ラムサール条約の実施に向けた釧路市の取組
資料4 主な国際条約と我が国の締結状況一覧
資料5 国際条約締結を踏まえて整備された国内法や通達の事例
資料6 国際条約と自治体との関係について(事件・取組事例等)

 

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