報告書

行政上の義務履行確保等に関する調査研究報告書

行政上の義務履行確保等に関する調査研究報告書


A4判 152p
定価2200円(本体価格2000円+税10%)

本報告書では、違法行為を行う事業者や個人に法律・条例を遵守させるための法制度設計について提言するため、理論的考察や現状把握を行い、その成果を取りまとめました。
わが国における行政上の義務履行確保制度については、建築規制や環境規制の分野をはじめとして、必ずしも実効性をともなっていないと指摘されています。たとえば、耐震強度の偽装(建築設計図書偽造)、建築物の不正改造(容積率違反等)、粉飾決算(有価証券報告書虚偽記載)、食品の産地偽装、放置自動車、ごみの不法投棄などは、法律・条例が遵守されていない実態を端的に示すものといえます。
また、自治体も、固有条例に基づいてまちづくりや環境規制を行う上で、様々な障害に直面しています。これは、行政代執行法や地方自治法等の規定によって、自治体が執りうる義務履行確保手段に少なからぬ制約が課されているためと考えられます。
そこで、本調査研究では、行政上の義務履行確保等に係る実効性の向上及び運用の適正化を図るべく、現行制度の改正案および新制度の試案について検討を行いました。提言の概要については、次の通りです。

民事手続による行政上の義務履行確保
自治体が裁判手続を通じて違反事業者などに法律・条例を遵守させることができるように、行政事件訴訟法の改正などが必要である。
行政代執行制度
行政代執行を円滑に進めるため、動産の除去・保管・換価・廃棄に関する規定を設けることなどが必要である。
違法放置物件等の除去
放置自動車・自転車、不法係留船舶などをより迅速かつ適正に撤去、廃棄できるよう、個別法を改正することが必要である。
行政刑罰及び行政上の秩序罰
法律・条例の罰金額は一般的に低いことから、罰金額の大幅な引上げが必要である(建築基準法違反の場合、罰金は最大での50万円以下に止まる)。また、千代田区などの自治体で活用されている過料についても、実効性を高めることが必要である。
経済的制裁等による義務履行確保
違反者に金銭を課すことで規制を遵守させる手段(間接強制または課徴金)を法律・条例で創設できるようにすることが必要である。
条例による義務履行確保制度
自治体が、地域の実情に即して制定した条例の規制を遵守させる手段(放置物件の除去、間接強制)を創設できるようにすることが必要である。

第1部 行政上の義務履行確保等のあり方に関する提言

(執筆:(財)日本都市センター)
序 章 行政上の義務履行確保等の課題
第1章 民事手続による行政上の義務履行確保
第2章 行政代執行制度
第3章 違法放置物件等の除去
第4章 行政刑罰及び行政上の秩序罰
第5章 経済的制裁等による義務履行確保
第6章 公表等による義務履行確保
第7章 条例による義務履行確保制度

第2部 民法・刑法・行政法からの視点

第1章 平成15年民事執行法改正 
(執筆:山本和彦委員)
第2章 行政罰の現状と課題 
(執筆:川出敏裕委員)
第3章 課徴金制度の現状と課題 
(執筆:中原茂樹委員)

資料編 行政上の義務履行確保等に関する事例研究

1.宝塚市パチンコ店等建築規制条例について
(執筆:(財)日本都市センター鈴木潔研究員)
2.横浜市船舶の放置防止に関する条例について 
(執筆:中山雅仁委員)
3.広島湾地域における放置艇対策について
(執筆:(財)日本都市センター鈴木潔研究員)
4.岡山市における行政代執行について
(執筆:(財)日本都市センター鈴木潔研究員)
5.大阪市における行政代執行について
(執筆:(財)日本都市センター鈴木潔研究員)
6.千代田区生活環境条例における路上喫煙に対する過料処分について 
(執筆:中村司委員)
7.小田原市における市税滞納者に対する特別措置について
(執筆:(財)日本都市センター鈴木潔研究員)

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