自治体ガバナンスを支える法務人材・組織の実践
A5判 296p
定価1650円(本体価格1500円+税10%)
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分権改革による事務権限・裁量の増大や住民ニーズの多様化を背景に、自治体行政におけるコンプライアンスへの意識が高まっており、都市自治体のガバナンスに不可欠なものとして、“自治体法務”があらためて重要視されつつある。
自治体法務の内容は、従来の例規審査や訴訟対応にとどまらず、法令改正に合わせた条例の内容や行政実務の見直し等の事務が増加・複雑化しているほか、担当課と連携した条例等の政策立案、執行過程への早期関与による予防法務など、広がりをみせる。とりわけ近年では、福祉行政や災害対応、学校教育現場などにおいて、法的な問題への対応に迫られる場面も顕著となっている。自治体法務の担い手に目を向けてみると、職員一般を対象とする法務研修に加えて、法的素養のある一般行政職員の専門化・スペシャリスト化が図られてきた。しかし、職員定数の削減や採用試験での法律科目の廃止、法曹養成制度改革とそれに伴う法学教育の変化等によって、自治体法務を中核的に担うべき「法務人材」の確保・育成に支障が生じ、組織全体としての法務力の低下が懸念される。そうしたなかで、法曹有資格者や法科大学院修了者を活用する動きも一部でみられる。
このような状況を踏まえ、日本都市センターでは2020年度に、学識者及び実務家からなる「都市自治体における法務人材に関する研究会」(座長:大杉覚 東京都立大学法学部教授)を設置し、2か年にわたって調査研究を進めてきた。研究会では、都市自治体のガバナンスの観点から、法務対応のニーズやその担い手の育成・確保等の現状を把握したうえで、「法務人材」が担うべき業務や人材育成・確保等の方法、組織体制のあり方について、議論を重ねてきた。本報告書は、ゲストスピーカーとの意見交換、ヒアリング調査及び全国815市区を対象としたアンケート調査の結果を踏まえながら、研究会において積み重ねられてきた議論の成果を取りまとめたものである。
※アンケート調査の集計結果を取りまとめた「都市自治体における法務人材に関するアンケート調査 最終結果報告」は、こちらからご覧いただけます。
第1部 自治体法務の意義と「法務人材」
第1章 自治体法務と法務人材 PDF
(東京都立大学法学部教授 大杉 覚)
第2部 法務人材の確保・育成と法務に関する組織体制
第2章 求められる法務能力と法務人材の確保・育成 PDF
(学習院大学法学部教授 藤田 由紀子)
第3章 法曹有資格者等の採用 PDF
(銀座パートナーズ法律事務所弁護士・博士(法学) 岡本 正)
第4章 法曹有資格者等の活用 PDF
(東京大学大学院法学政治学研究科准教授 平田 彩子)
第5章 法務に関する組織体制と人材育成 PDF
(専修大学法学部教授 鈴木 潔)
第3部 行政実務への法務人材の関わり方と実践
第6章 法務担当組織・法務人材と行政実務:現状と今後の発展のために PDF
(東京大学大学院法学政治学研究科准教授 平田 彩子)
第7章 自治体福祉分野における専門性の構築と法務サポートの一考察 PDF
(日本大学危機管理学部准教授 鈴木 秀洋)
第8章 災害対応分野における法律的思考と法務人材 PDF
(銀座パートナーズ法律事務所弁護士・博士(法学) 岡本 正)
第4部 アンケート調査結果及び事例紹介(国内・欧米)
第9章 法務人材に関するアンケート調査結果の概要と比較分析 PDF
(日本都市センター研究員 釼持 麻衣)
第10章 横浜市・足立区・流山市における法務人材・組織の実践PDF
(日本都市センター研究員 釼持 麻衣)
第11章 欧米諸国の都市自治体における法務人材の確保・育成 PDF
(日本都市センター研究員 釼持 麻衣)