グローバル観光戦略-地域文化・資源を活かして-(ブックレット13)
グローバル観光戦略-地域文化・資源を活かして-(ブックレット13)
我が国の観光政策は、これまで日本人の海外旅行の推奨にばかり力点を置いてきており、多くの国内観光関連企業も国内を重視し外国人旅行者の獲得に注力してこなかった。しかし、21世紀に入り、グローバル化の進展、IT革命、大型交通輸送ネットワークの実現、観光客のニーズの多様化などは観光の姿を大きく変化させ、観光は自国の国力を高め、文化を諸外国に発信する有力な手段として捉えられるようになった。
このような背景のもと、小泉首相が自らイニシアチブを取り、世界に開かれた日本を目指す「観光立国論」を提唱し、訪日外国人旅行者数を2010年までに倍増して1,000万人とするため、「グローバル観光戦略」として様々な施策を展開している。
「観光立国論」は、単に海外からの入国者が増えることだけを意味するものではない。多様な地域文化・資源を活かして多様な魅力ある地域ができることは、国内の交流人口増加も可能にするであろう。それは、観光産業による内需拡大が見込めると同時に、都市における地域経済や地域文化の活性化にも寄与するものと考えられる。
このブックレットは、「これからの観光戦略~外国人誘客を目指して~」をテーマに、(財)日本都市センターが全国の都市自治体関係者を対象にして開催した、第7回都市経営セミナー(平成17年7月7日実施)での基調講演、事例報告及びパネルディスカッションの内容を取りまとめたものである。
セミナー当日は、市長、市議会議員、自治体職員など、230名を超える参加者が、講演などに聞き入るとともに熱心な意見交換が交わされた。
基調講演をいただいた木村尚三郎静岡文化芸術大学学長、事例報告をしていただいた方々、また、パネルディスカッションのコーディネーターを務めていただいたフリーアナウンサーの青山佳世さんをはじめとして、パネリストの方々に改めてお礼を申し上げる。あわせて、本書が全国の自治体関係者はもとより、広く関係各位にも活用されることを期待する。
第1部 基調講演
「21世紀は観光の時代」
静岡文化芸術大学学長 木村 尚三郎
第2部 事例報告
1.「住んでよし、訪ねてよしの石垣市」
沖縄県石垣市長 大濱 長照
2.「映像による観光振興」
―フィルム・コミッションがもたらすもの
神戸フィルムオフィス代表 田中 まこ
第3部 パネルディスカッション
「これからの観光戦略」
―外国人誘客を目指して―
1.はじめに
2.会津若松市の観光戦略
3.アジアの中の天草
4.アウトドア体験型の通年観光による地域の活性化
5.観光行政の役割
6.求められる今後の観光戦略
7.会場との意見交換