報告書

オランダの都市計画法制 ―全訳・オランダ空間整序法―(ブックレット27)

オランダの都市計画法制 ―全訳・オランダ空間整序法―(ブックレット27)


A5判 158p
定価550円(本体価格500円+税10%)

 

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このブックレットは、全国市長会と財団法人日本都市センターが2007年から共同で設置している都市分権政策センターの「基礎自治体に関する総合的国際比較」事業の一環として刊行するものである。

「基礎自治体に関する総合的国際比較」事業としては、日本のこれからの地方自治制度のあり方を検討するうえで参考となる情報及び知識を収集するため、文献調査、専門家からの聴取調査、海外への現地調査等を実施してきたところである。その成果物としては、「基礎自治体と政府階層の国際比較」一覧表のホームページ上での公表や、機関誌『都市とガバナンス』、商業出版書籍、報告書等での調査結果の発表などがある。

日本都市センターでは、2008年度から2009年度にかけてオランダ及びベルギーに関する調査を進め、佐藤竺監修・金井利之・日本都市センター編著『オランダ・ベルギーの自治体改革』を第一法規株式会社より2011年春に刊行したところであるが、その調査の過程で、基礎自治体にとって重要な意義をもつオランダの空間整序法(以下「Wro」という。)を2010年に翻訳した。他方において、Wroの翻訳については、金井利之・東京大学教授を中心とするWro研究会によって2008年に開始されていたことから、日本都市センターとWro研究会の両社の成果を併せて一冊のブックレットに取りまとめることとした次第である。

このブックレットには、Wro全文の和訳と学識者による解説が掲載されている。Wroは、敢えて日本で言えば主に都市計画法に相当するが、オランダでは、Wroによって都市部と農村部の空間(ruimte)に区別なく、国・県・市に一貫した空間計画体系が構築されており、また、市には相対的に大きな権限が付与されている。日本の土地利用法制が国土利用計画法、都市計画法、農振法、森林法、自然公園法、自然環境保全法等に実質的に分断されていることや、土地利用分野における基礎自治体への権限移譲が求められてきた経緯に鑑みれば、Wroの仕組みと運用の実態を紹介することにより、日本の都市自治体関係者にとって有益な知見が提供できるものと考えている。

第1部 オランダ空間整序法と日本

第1章 オランダ空間計画の変遷と空間整序法全面改正の背景
(東京大学大学院法学政治学研究科教授 金井利之)

第2章 日本の都市計画制度見直しの課題からみたオランダ空間整序法
(東京学芸大学特別支援講座教授 加瀬進)

第3章 発達障害支援ネットワーク構築に向けた体制づくりと課題
(都市計画コンサルタント・NPO法人日本都市計画家協会オランダ都市計画研究会世話人 稲垣道子)

第2部 事例研究

第1章 地区土地利用計画と都市デザイン―アムステルダムの決定プロセスから―
(デルフト工科大学客員研究員 笠 真希)

第2章 国及び県における空間整序法の運用状況―構造ビジョンと編入計画に着目して
(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻助教 片山健介)

第3章 オランダ空間整序法改正の背景―空間政策をめぐる対立の背後でなされた超党派による手続の現代化
(東京大学大学院法学政治学研究科博士課程 作内由子)

第3部 空間整序法全訳

空間整序に関する新規定を含む2006年10月20日の法律(空間整序法)

第1章 総則

第2章 構造ビジョン(structuurvisie)

第3章 地区土地利用計画(bestemmingsplan)・編入計画(inpassingsplannen)

第4章 一般規則及び特定指定(specifieke aanwijzingen)

第5章 都市圏における市間連携

第6章 財務条項

第7章 履行確保及び実施の監督

第8章 異議申し立て及び抗告

第9章 計画に関する組織

第10章 最終規定

 

 

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