2013年度以前の調査・研究

都市自治体行政の専門性確保に関する実証検討2010

都市自治体行政の専門性確保に関する実証検討

1.調査研究の趣旨・方法

社会環境の複雑・高度化及び地方分権の進展等により、都市自治体行政の専門性が強く求められるようになってきたことに鑑み、当センターでは2009年9月に「専門性研究会」(座長 稲継裕昭早稲田大学教授)を設置し、専門性が必要とされる背景や求められる専門性の内容について調査を進めてきたところである。

専門性の内容を追究する中で、具体的な行政分野における専門性の実態を掘り下げて考察することの必要性を認識し、2010年4月に「専門性実証検討会」(座長 藤田由紀子専修大学准教授(当時))を新たに設置した。検討会では、「児童相談行政」及び「徴税行政」という二つの行政分野を対象に調査研究を行うこととし、それぞれの専門性に関する課題や論点について、都市自治体への現地調査を実施して検証することにより、調査研究を進めてきた。

なお、本調査研究の成果物として、ブックレット『児童相談行政における業務と専門性 ―みんなで支える子どもと命―』を2011年3月に刊行した。

2.調査研究の現況

(1) 児童相談行政の課題

児童虐待相談件数の急増や子育て相談ニーズの高まりを背景として、2004年の児童福祉法改正により、児童家庭相談に応じることが市区町村の業務として法律上明確化され、住民に身近な市区町村においても子どもに関する様々な問題に対処することが要請されている。つまり、児童虐待相談や子育て相談は、児童相談所をもつ自治体だけではなく、すべての都市自治体が直面している問題である。

(2) ヒアリング調査及び参与観察の実施

横浜市、金沢市、静岡市、三鷹市及びさいたま市(調査日時順)にヒアリング調査を実施した。また、現場の実態を見ない限りは、その業務内容及び必要とされるスキル等はわからないことから、さいたま市に対してはヒアリング調査と併せて参与観察を実施し、児童相談所における職務の状況を直接調査した。

3.ブックレットの概要

児童相談行政をとりまく状況を踏まえ、2011年3月に刊行したブックレットでは、都市自治体の児童相談所における業務遂行の様々なノウハウを示すこととした。これらのノウハウを知ることは、児童相談所をもつ都市にとって業務見直しの直接の参考となるであろう。また、児童相談所を設置していない都市にとっても、児童相談行政に関する知識やノウハウを取得することによって、関係機関や住民と連携して、将来を担う子どもたちを地域として育てていく上で、基礎自治体として住民に身近な行政を担っている強みを発揮することにつながるはずである。

4.調査研究の体制(都市自治体行政の専門性確保に関する実証研究会)

(敬称略、所属役職等は2011年3月現在)

座 長      藤田 由紀子     専修大学法学部准教授
委 員      村上 祐介     日本女子大学人間社会学部准教授
〃      手塚 洋輔     東京大学先端科学技術研究センター客員研究員

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