調査・研究

都市自治体の就労支援・職業教育に関する調査研究

1.調査研究の趣旨

わが国では、2014年以来、まち・ひと・しごと創生戦略が推進されてきた。これは地方創生交付金を活用した戦略的な取組であるが、近年は地域にとってその持続可能性が疑問視されている。というのも、例えば地域産業の育成には最低でも10年を超える年月が必要とされ、長期的で持続的な取組が求められることが多いのに対して、国の交付金等は景気動向や政治動向によっては数年間でその交付期間が終了してしまうケースが後を絶たないためである。地域の持続可能性を今後さらに高めていくためには、より長期的な視点に立った恒常的な施策が自治体には求められているのである。
他方、高齢化が先行した先進諸国では、基礎自治体が国や広域自治体と連携し、さらには地域の企業やコミュニティ組織等とも連携することで、雇用確保と人材育成、地域経済の再構築に向けた新たな取組が行われてきている。例えば、ドイツをはじめとする欧州諸国では国や広域自治体が職業教育(職業訓練等)の財源を恒常的に負担しつつも、それらをもとに都市自治体が地元企業等と連携した雇用政策(=職業学校やいわゆるデュアルシステムの運営等)を実践することで大きな成果を挙げており、それが長期失業者の解消とともに多くの地方都市の発展をもたらしている。
わが国においても、地方分権改革の1つの成果として地方版ハローワークを多くの自治体が設置できるようになっており、国の公共職業安定所(ハローワーク)との一体的実施が急速に進んでいる(※2020年3月末時点で183自治体(33道府県150市区町)にまで増加)。加えて、多くの都市(例えば豊中市、釧路市等)が都道府県とともに生活困窮者支援制度などの運営を通して従来よりも地域の実情に応じた先端的な雇用政策に取り組みつつある。将来にわたって強い地域経済を再構築していくためには、こうした都市自治体の雇用政策への取組を今後より一層拡充させてしていくことが望まれる。
そこで、本調査研究では、わが国における地方分権改革(特に財政分権)の成果も意識しつつ、これまでの日本の取組をこうした諸外国の取組と比較検証することで、都市分権政策の一環の主体的な取組として再構築するための方策をさぐる。

2.調査研究の概要

 4名の学識経験者及び都市自治体職員からなる「都市自治体の就労支援・職業教育のあり方に関する研究会」(座長 星野 泉 明治大学政治経済学部教授。以下「研究会」という。)を設置し、調査研究を進めることとした。研究会では、以下の検討事項について調査を行うこととしている。
 <主な検討事項(予定)>
① 都市自治体の就労支援・職業教育の現状と課題
② 就労支援・職業教育に関する都市自治体の取組み
③ 今後の都市自治体の就労支援・職業教育のあり方

3.研究成果の公表

 本調査研究の成果をまとめ、2024年3月に報告書を刊行する予定である。

4.研究会委員名簿

座長 星野 泉  明治大学政治経済学部教授
委員 武田 公子 金沢大学人間社会研究域経済学経営学系教授
五石 敬路  大阪公立大学大学院都市経営研究科准教授
西岡 正次 A’ワーク創造館 副館長・就労支援室長

研究会開催状況

開催日 議事次第・配布資料 議事概要
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