報告書

自治体による「ごみ屋敷」対策-福祉と法務からのアプローチ-

自治体による「ごみ屋敷」対策-福祉と法務からのアプローチ-

 

A5判 360p

定価1100円(本体価格1000円+税10%)

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現在、都市自治体が直面している政策課題の一つに、いわゆる「ごみ屋敷」や樹木の繁茂、多頭飼育・給餌といった住居の荒廃(以下、本報告書では「住居荒廃」と総称する。)の問題がある。荒廃した住居は、周辺地域に環境衛生、防災、防犯、および景観上の支障などの悪影響をもたらし、地域住民は最も身近な行政主体である、都市自治体にその解決を求めることが少なくない。類似の政策課題として挙げられる空き家問題については、条例および法律が制定されるなど、問題解決に向けた法制度が整備されてきている。しかしながら、「住居荒廃」問題については、その全体像が十分に把握されておらず、解決に資する法制度も整っているとはいいがたい。

また、「住居荒廃」問題は、空き家問題と異なり、そこに居住する者がいる以上、住居内への立入りや行政代執行のような強制的措置を講ずるにあたって、財産権等の基本的人権の侵害が大きな問題となりうる。さらに、居住者が健康上の問題を抱えていたり、セルフ・ネグレクトの状態に陥っていたりする場合には、清掃などの物理的な改善を促すのみでは、根本的な問題解決にはならない。そのため、福祉的側面からの能動的なアウトリーチや居住者が抱える生活上の課題に対する包括的な支援体制の整備、関係団体および地域コミュニティと連携した継続的な支援が求められている。

このような状況を踏まえ、日本都市センターでは2017年度に、学識者および都市自治体職員からなる「住居の荒廃をめぐる法務と福祉からに対応策に関する研究会」(座長:北村喜宣 上智大学法学部教授)を設置し、2か年にわたって調査研究を進めてきた。研究会では、都市自治体における荒廃住居とその居住者をめぐる現状と問題を明らかにするとともに、政策法務および地域福祉等の面からの対応策やその課題について、議論を重ねてきた。本報告書は、現地ヒアリング調査および全国814市区を対象としたアンケート調査の結果を踏まえながら、研究会において積み重ねられてきた議論の成果を取りまとめたものである。

 

 

序章

都市自治体における「住居荒廃」問題の現状と対応状況 PDF

(上智大学法学部教授 北村 喜宣・日本都市センター研究員 釼持 麻衣)

 

第Ⅰ部 居住者が抱える生活上の課題と福祉的支援

第1章 いわゆる『ごみ屋敷』の実態とその背景に潜むもの PDF

(東邦大学大学院看護学研究科教授 岸 恵美子)

 

第2章 荒廃した住居の住人に対する精神保健福祉的介入のあり方 PDF

(東京都立中部総合精神保健福祉センター副所長・(公財)東京都医学総合研究所客員研究員 菅原 誠)

 

第3章 脆弱な人々を包摂する社会の構築に向けてー住居荒廃の問題と自律支援 PDF

(法政大学大学院経済学研究科教授 菅 富美枝)

 

第4章 困窮する居住者に対する見守り・支援の取組み PDF

-練馬区・野洲市・豊中市社会福祉協議会へのヒアリング調査をもとに-

(日本都市センター研究員 釼持 麻衣)

 

第Ⅱ部 条例に基づく「住居荒廃」対策の可能性

第5章 条例によるごみ屋敷対応をめぐる法的課題 PDF

(上智大学法学部教授 北村 喜宣)

 

第6章 足立区の「ごみ屋敷」対策 PDF

(足立区環境部生活環境保全課長 祖傳 和美)

 

第7章 京都市の「ごみ屋敷」対策 PDF

(京都市保健福祉局保健福祉部保健福祉総務課担当係長 木本 悟)

 

第8章 いわゆる「ごみ屋敷条例」の制定自治体の取組み PDF

-世田谷区・横浜市・豊田市・大阪市・神戸市へのヒアリング調査をもとに-

(日本都市センター研究員 釼持 麻衣)

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