2013年度以前の調査・研究

新時代の都市税財政に関する調査研究2008

新時代の都市税財政に関する調査研究

1.趣旨・目的

 昨今の世界規模の景気低迷に伴い、都市自治体にとっては税財政面において非常に厳しい時代が到来しており、伸び悩む収入減への対応が喫緊の課題となっている。そこで、『都市自治体が今日抱えている収入面の課題』をテーマとし、法定外税や収入確保に結びつく取組みをはじめ、都市自治体における先進事例をもとに、その多様な可能性を検討することとした。

2.調査研究の方法

 当センター内に「新時代の都市税財政に関する研究会」(委員長:宇田川璋仁 千葉商科大学客員教授)を設置した。
 本研究会では、都市税財政の研究者及び都市自治体の職員等による報告や問題提起をもとに、意見交換・討議を行いながら調査研究を進めた。平成21年3月に本調査研究の内容を取りまとめ、報告書『都市自治体の収入確保策―増収に向けた多様な取り組み―』として発刊した。

3.調査研究の概要・成果

(1)確定債権を確実に徴収するための方策について
 まず、第1章では、「確定債権を確実に徴収するための方策」という視点から検討した。  ①『債権の対象把握』については、GISを利用した固定資産税の課税対象把握の際の技術革新を示している。なお、これ以外の分野(例えば、税外収入の分野など)においても、IT化の進展に対応して債権を顕在化させていく可能性があろう。
 ②『納付の確実な実現』については、納付者へのサービス面での向上についての工夫(コンビニ出納、インターネット納付、クレジットカード納付等)を示している。一方、未納となった分でも適切な対応によるならば徴収率の向上が見られることを、詳しく示している。ここでは、マクロ的な視点から徴収率向上のための様々なノウハウや、都市自治体による徴収業務体制の充実の有効性(堺市の債権回収対策室の設置とその活動状況)などを取り上げ、検討している。

(2)新たな収入を得るための努力について
 次に、「新たな収入を得るための努力」という視点からを検討した。
 ①『租税収入』については、2000年4月に施行された地方分権一括法等により法定外目的税の創設など拡充が図られ、多くの都市自治体において課税自主権の活用について検討が進められており、その事例について示している(例えば「豊島区放置自転車等対策推進税」、「豊島区狭小住戸集合住宅税」など)。
 ②『税外収入』については、例えば広告について、団体によって大きな収入を挙げているケースがある。また、いわゆる「命名権」(ネーミングライツ)によって様々な媒体を利用するケースも見られる。これらについて詳細を明らかにしている。さらに、公有財産利用はについて、例えば、「ヨコハマバリュー」などは斬新な取組みであり、これらについても、詳細を明らかにしている。

4.調査研究の体制(都市税財政研究会)

 委員長  宇田川璋仁 千葉商科大学客員教授
 副委員長  黒川 和美 法政大学経済学部教授
 〃  西野 万里 明治大学商学部教授
 委員  青木 宗明 神奈川大学経営学部教授
 〃  飯野 靖四 帝京大学経済学部教授
 〃  井川  博 政策研究大学院大学教授
 〃  加藤 三郎 東京大学名誉教授
 〃  工藤 裕子

中央大学法学部教授

 〃  高山 憲之 一橋大学経済研究所教授
 〃  竹内 一樹 長野経済短期大学学長・日本大学理事長代理代行
 〃  田中 一行 明海大学総合教育センター客員教授
 〃  沼尾 波子

日本大学経済学部教授

 〃  原田 博夫 専修大学経済学部教授
 〃  藤田 幸雄 自治大学校・早稲田大学政治経済学部講師
 〃  星野  泉 明治大学政治経済学部教授
 〃  松藤 保孝

高崎経済大学地域政策学部教授

 〃  森  裕之 立命館大学政策科学部准教授
 〃  諸富  徹 京都大学大学院経済学研究科准教授
 〃  久保 信保 総務省自治財政局長
 〃  河野  栄

総務省自治税務局長

 〃  望月 達史 総務省大臣官房審議官(財政制度・財務担当)
 〃  佐藤 文俊 総務省大臣官房審議官(税務担当)
 〃  平嶋 彰英 総務省自治財政局財政課長
 〃  米田耕一郎

総務省自治税務局企画課長

 専門委員  板垣 正幸 世田谷区政策経営部長
 〃  北嶋 菊好 高崎市財務部長
 〃  鈴木 哲夫 小田原市理事・総務部長
 〃  鹿野 正廣

浦安市財務部長

 〃  浜崎 道夫 宇都宮市行政経営部長
 〃  龍崎 和人 横須賀市財政部長

(敬称略、委員は50音順、所属役職等は平成21年2月15日現在)

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