都市自治体における今後の「地方創生」のあり方に関する研究会
1.調査研究の趣旨
2014年、国は「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、いわゆる「地方創生」を国家的な重要課題として位置づけた。同年には「まち・ひと・しごと創生総合戦略(第1期)」(以下、「国の総合戦略」)という。)が策定され、「地方における安定した雇用を創出する」「地方への新しいひとの流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」という4つの基本目標のもと、全国の自治体に対して地方版総合戦略の策定と実施が求められた。
2019年には第2期の国の総合戦略が策定され、第1期の成果と課題を踏まえつつ、Society5.0の実現やSDGsの推進、多様な人材の活躍促進といった「地方創生」の方向性が再提示された。2022年には「デジタル田園都市国家構想」が提唱され、デジタル技術を活用した地域課題解決と地方創生の一体的推進が重要視されるに至っている。
こうした国の政策を受けて、全国の自治体はさまざまな「地方創生」の取組みをすすめてきた。都市自治体においても例外ではなく、地域資源の活用、新たな産業振興、子育て支援、移住・定住促進など、多様な戦略が実行に移されてきた。
しかし、「地方創生」の開始から10年を迎えた現在、意図した過度の東京一極集中の是正には至っていない。2024年10月1日時点の日本の総人口は約1億2,380万人と14年連続の減少を記録しており、日本全体の人口減少にも歯止めがかかっていない。むしろ、人口獲得競争を通じた新たな自治体間の格差や、加速する人口減少・少子高齢化によって公共サービスの提供が困難となる状況さえ生じつつある。こうした状況を踏まえ、国においては、「地方創生2.0の『基本的な考え方』」(2024年12月)を公表し、2025年6月13日には「基本構想」がとりまとめられたところである。
以上のような背景を踏まえ、本調査研究では、まち・ひと・しごと創生法の施行から、自治体がどのような「地方創生」の取組みを、どのように実施してきたかに焦点を当てる。「地方創生」をめぐる10年間の取組みを都市自治体の立場から検証し、その課題と今後の「地方創生」に求められる方向性を探ることが本調査研究の目的である。
2.調査研究の概要
学識経験者等からなる「都市自治体における今後の「地方創生」のあり方に関する研究会」(座長:大杉覚 東京都立大学法学部教授。以下、「研究会」という。)を設置し、調査研究を進めることとした。研究会では、以下の検討事項について調査をおこなうこととしている。
また、より実践的な検討を行うため、市区長および学識者から構成される「検討会議」を設置し、都市自治体の現場が抱える課題や問題意識などに関する市区長の見解を伺う機会を設ける。
<主な検討事項(予定)>
①都市自治体におけるこれまでの「地方創生」の取組み
②「地方創生」と「自治」の関係性
③今後の「地方創生」に求められる方向性と都市自治体のあり方
※調査研究をおこなっていくなかで、検討事項等は随時変更となる場合がある。
3.研究成果の公表
本調査研究の成果をまとめ、2027年3月に報告書を刊行する予定である。
4.テーマに関する先行研究
<関連する過去の調査研究>
人口減少時代における都市経営のあり方に関する調査研究(2006-07年度)
都市自治体と都道府県の関係性に関する調査研究(2020-2021年度)
デジタル社会における都市経営と都市政策に関する研究会(2022-23年度)
5.研究会委員名簿
座長 | 大杉 覚 | 東京都立大学法学部 教授 |
委員 | 中村 悦大 | 愛知学院大学総合政策学部 教授 |
〃 | 藤波 匠 | 株式会社日本総合研究所調査部 主席研究員 |
〃 | 山岸 絵美理 | 大月市立大月短期大学経済科 准教授 |
〃 | 吉弘 憲介 | 桃山学院大学経済学部 教授 |
研究会開催状況
回 | 開催日 | 議事次第・配布資料 | 議事概要 |
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