脱炭素・環境負荷低減に寄与する都市政策・まちづくりに関する研究会
1.調査研究の趣旨
本調査研究では、脱炭素社会実現のための実行主体となる都市自治体において、今後どのような都市政策・まちづくりが求められるのか、その取組みに資する実践的な知見について考察していくことを目的とする。
世界的な動向として、気候変動への対応のための具体的な取組みである、脱炭素に関する政策・施策や技術の導入が推進されている。この潮流に呼応するように、日本においても地球温暖化対策推進法に基づく2050年までのカーボンニュートラルの達成が政策目標とされた。都市自治体をはじめとした地方公共団体は、その政策目標を遂行するための実践主体として位置づけられている。地方自治体においては、地球温暖化対策計画のもとでの「地方公共団体実行計画(事務事業編・区域施策編)」の策定が求められており、各地でさらなる取組みの促進が必要となっている。
この実行計画において、より脱炭素に向けた効果が大きいと捉えられる「区域施策編」に注目すると、その策定状況は都道府県・市区町村をあわせた1,788団体のうちの941団体となっており、およそ半数(52.6%)のみの自治体にとどまっていることが分かる。加えて、より一歩踏み込んだ具体的な実施状況となると、人口3万人未満の小規模自治体になるほど、その取組み状況が20%にも満たないという実態が浮かび上がってくる。こうした、都市自治体における計画の未策定状況、取組みの未実施の状況を鑑みると、国・都道府県・市区町村という垂直的なスケールにおいて計画策定のうえでの何らかの克服すべき障害や認識の齟齬といった課題があると考えられる。また、実際の取組みにおいても、自治体と地域内の事業体、住民、他自治体という、他の主体との水平的なスケールでの協働・調整を行っていくうえでの、それを阻害するノウハウ不足といった何らかの障壁があると考えられる。
以上の認識を踏まえ本調査研究では、今後の脱炭素社会の実現を見据え、都市自治体の都市政策・まちづくりにおける、その取組みに資する実践的な知見を導き出していくことを目的とする。その際には、先述した国、都道府県、市区町村の縦のつながりでの連携のほか、都市自治体と他主体との横のつながりでの連携といった両視点に注目をしながら考察を進めていくこととする。
2.調査研究の概要
学識者及び自治体職員(計7名)からなる「脱炭素・環境負荷低減に寄与する持続可能な都市政策・まちづくりに関する研究会」(座長:北村 喜宣 上智大学法学部教授。以下「研究会」という。)を設置し、調査研究を進めていくこととする。研究会では、以下の検討事項について議論・研究を行っていく。
<主な検討事項(予定)>
①都市自治体における計画未策定・未実施の要因の検討
②脱炭素部局・担当職員における事務負担軽減の方策
③先進自治体における他主体との合意形成・調整過程の分析と普遍的知見の導出
※なお、今後の研究会の進展によって、上記検討事項は変化していく可能性がある。
3.研究成果の公表
本調査研究の成果をまとめ、2027年3月に報告書を刊行する予定である。
4.テーマに関する先行研究
<関連する過去の調査研究>
気候変動に対応した防災・減災のまちづくりに関する研究会(2023年度)
都市自治体の森林政策に関する研究会(2022年度)
5.研究会委員名簿
座長 | 北村 喜宣 | 上智大学 法学部 教授 |
委員 | 島崎 晃吉 | 飯田市 市民協働環境部 ゼロカーボンシティ推進課 課長 |
〃 | 高浜 伸昭 | 市川市 市長公室 カーボンニュートラル推進課 課長 |
〃 | 田中 充 | 法政大学 名誉教授 |
〃 | 内藤 悟 | 東海大学 法学部 教授 |
〃 | 錦澤 滋雄 | 東京科学大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 准教授 |
〃 | 藤田 壮 | 東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 教授 |
※敬称略・五十音順(委員のみ)
研究会開催状況
回 | 開催日 | 議事次第・配布資料 | 議事概要 |
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